梅毒とは

梅毒はコロンブスがアメリカ大陸からヨーロッパヘもたらし、かつては世界的に大流行し、性病の代表とされていた性感染症です。しかし、そのさしもの梅毒流行も、ペニシリンの出現後は影をひそめるようになって来ました。

現在では、一部ではいまだに残っているものの、我が国の全性感染症のうち、0.8%程度に少なくなっています。ただごく最 近、ペニシリンが他の性感染症治療に使われなくなってきたことの結果として、他の感染症と一緒に感染している梅毒が、他の感染症の治療後も残ることがあ り、徐々にまた増えているとされています。そのため、最近また注目を要する性感染症となってきているといえます。感染後2、3週間で局部に小さな硬結がで き、それらが崩れて潰瘍となるのが特徴です。そして、2 〜3ヶ月後に特徴的な全身に梅毒疹ができます。

無症状性の梅毒
最近は、あまり局所に症状が出ないで感染している場合もありますので、そのような所見がなくても、梅毒血清反応で16倍以 上の陽性であれば、無症候性梅毒として治療しなければなりません。既婚の妊婦での検査では、約0.2%(500人に1人)が梅毒検査で陽性になっていま す。   ⇒関連情報

梅毒の症状

梅毒の症状は4期に分かれます

【第1期】
感染後、20日ほどすると、体に丘疹(しこり・潰瘍)があらわれます。
ニキビよりももう少し平べったいものです。口の周り、性器、手、肛門、乳房など様々な所にあらわれます。痛みはありません。それから20日ほどすると、今度はこの症状が消えていきます。しかし体内の病原菌が死滅するわけではありません。

【第2期】
感染後三ヶ月ほどすると、全身に赤い発疹ができます。赤いことから、バラ疹と呼ばれています。アトピーや汗疹(あせも)の症状に似ているかもしれません。
赤い発疹がでると、次に再び丘疹が現れることもあります。同時に、風邪のような発熱をともなって倦怠感や疲労感に襲われます。この時、人によっては頭髪が抜け落ちることがあります。ぼろぼろと髪の毛が抜けていき、リンパ腺が腫れていくのです。
これも、放っておくと数週間でおさまる場合があります。しかし一期と同じく、二期の症状のいずれにもほとんど痛みがないために、稀に病院へいかずに、自分で薬をつけて治そうとしたりする人もいます。もちろん着々と病はすすんでいきます。

【第3期】
感染してから三年ほどすると、顎、頭、骨、鼻、筋肉などにコブのような大きな出来物ができます。「ゴム腫」と呼ばれるやわらかい腫瘍で、顔や体が変形していきます。

【第4期】
末期症状です。病原体は、神経を犯しはじめます。
身体の麻痺、精神錯乱、発作など恐ろしい症状に襲われることになります。
眼が見えなくなり、うまく歩けなくなり、そして言語障害まででてきます。臓器に腫瘍が出来て壊死してしまいます。いわゆる廃人になってしまうということです。
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